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『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』より主人公(ED後)を召喚。 日替わり使い魔 1話 日替わり使い魔 2話 日替わり使い魔 3話 日替わり使い魔 4話 日替わり使い魔 5話 日替わり使い魔 6話 日替わり使い魔 7話 日替わり使い魔 8話 日替わり使い魔 9話 日替わり使い魔 10話 日替わり使い魔 11話 日替わり使い魔 12話 日替わり使い魔 13話 日替わり使い魔 14話 日替わり使い魔 15話 日替わり使い魔 16話 ☆作者注 作中のキャラクター設定は以下の通りです。 主人公=リュカ(リュケイロム・エル・ケル・グランバニア)……小説版より引用 妻……フローラ 息子=レックス……ゲーム内デフォルト名 娘=タバサ……ゲーム内デフォルト名 キラーパンサー=プックル その他設定……ゲーム準拠
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59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 10 49 36.67 ID cGgoc351O ゼロの使い魔 使い魔が一匹もおらず仕方ないので自分でなんとかしました 837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 08 42 40.07 ID ISV9IunIO 59 使い魔であるピンク髪の女の子が「良いわね?行くわよ」の掛け声と共にイヤリング爆弾で敵を葬り去る まだみぬご主人様を探すために 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 12 08 06.22 ID d1uPUwgO0 ゼロの使い魔 ツンデレ幼女魔法使いに召還された使い魔がメイドといちゃいちゃしつつ長門にちょっかいをかける話 そしてそれをツンデレ幼女にやきもちやかれる 269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 13 28 28.26 ID PV6UskiYO ゼロの使い魔 ゼロと呼ばれる天才魔術士が黒魔術に手を出し、ルイズという悪魔を使い魔とした。 しかし不幸な偶然が重なり舞台を変えてギャンブルで争いあうことに… 321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 03 34.55 ID +YuxCU8M0 ゼロのつかいま ロックマンの続編 354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 29 59.13 ID +/W8V6y8O ゼロの使い魔ってどんな話? 359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 36 14.26 ID uZ0I99qB0 354 ゼロの使い魔 トリステイン王国に恨みを持つ少年、主人公ルルーシュ・ランペルージは謎の少女ルイズから、武器を自在に扱える力「ギアス」を与えられることになる。ルルーシュは仮面で素顔を隠して「ゼロ」と名乗り 自称正義の味方「ハルケギニア」を結成し、トリステイン王国に戦いを挑む。 361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 36 51.71 ID OvnsEnhz0 359 混ぜるな危険 362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 38 05.51 ID +/W8V6y8O 359 まんまギアスじゃねーかw 367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 40 12.25 ID Spl9UEq/O 354 ゼロの使い魔 魔法大学に通う青年・ゼロが主人公。 ある雨の振る日、一人の美少女が道端で倒れているのを助ける。 そしてその美少女は、元マスターに捨てられたために行き倒れになっていた低級使い魔だった。 美少女使い魔とゼロの奇妙な同居生活を描いたドタバタ恋愛学園コメディ。 373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 42 41.43 ID +/W8V6y8O 367-368 ちょっと面白そうだな 368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 40 37.29 ID 2mXwYkvq0 354 ありふれた日常を打ち崩す光が空から降り注いだ その時、突如ゼロ次元から現れた神の使い魔「ゼクス」 高校生の主人公とヒロインはゼクスにある”力”を与えられる 使い魔はこの混沌とした世界を救う救世主か? はたまた終末をもたらす悪魔なのか? カタストロフラブストーリー 371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/30(水) 14 42 14.36 ID 1TGAHhyd0 354 ゼロの使い魔 コードギアス1期と2期(R2)を繋ぐ作品。 ブラックリベリオンの後、バラバラになった黒の騎士団を再建すべく黒の騎士団の一般兵士だった主人公は「ファミリア」と名乗りゼロの意思を継ぐ為に戦う。 ちなみにR2で最初にゼロを庇って死んだのがファミリアだったがその事実はあまり知られていないようだ・・・。 375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 14 43 54.67 ID +/W8V6y8O 371 またギアスかよwww 750 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 22 52 56.11 ID JX9a05j60 745 昔はマジでNHKに入社したりNHKの仕事を紹介したりするマンガだと思ってた ゼロの使い魔 天才数学者が数の悪魔「ゼロ」と戦う物語 753 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 22 55 41.39 ID N3FN0yeC0 ゼロの使い魔 コードギアスのスピンオフ作品 481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 15 56 41.17 ID UNy/vdZ6O ストーリーっていうかイメージ ルイズフランソワーズ・ル・ド・ラ・ブァリエール 主人公の名前が長い とにかくかわいいらしい 多分外人 ルイズルイズルイズ!!!!くんかくんかくんかくんか!!!!!と、よく言われる VIPで毎日スレが立つほど大人気 可愛い
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翌朝、何とか動けるようになったロングビルを御者役に、一行は出発した。 馬車といっても、屋根のない、荷車のような馬車である。 襲われたときに、直ぐに迎撃出来るようにとのことだ。 その馬車の上、ルイズは歯ぎしりをし、 かつてないほどの憤りを感じていた。 何たってこんな事になったのか…………馬車に乗っているのは、 ルイズを含めて、四人に増えてしまっていた。 ルイズと、DIOと…………キュルケとタバサだった。 早朝、馬車を待っている2人の前に、 何処から聞きつけたのか、オスマンとともに表れたのだ。 「この2人は、そなた同様、 フーケ拿捕に、貴族の誇りをかけると申しておる。 同行させるのじゃ」 そういうオスマンに対して、まさかNOと言えるわけがない。 ルイズに選択肢は無かった。 結局、ルイズの返答を待つことなく、2人は堂々と馬車に乗り込んだのだった。 「なんであんたがここにいるのよ、 ツェルプストー」 カッポカッポと馬車が行く音が森に広がるなか、 唇を軽くへの字に曲げて不満を漏らしたルイズに、 キュルケはその炎のような髪をかきあげた。 「ふん。 ヴァリエールに抜け駆けなんて、させないわよ。 うわさはとっくに学院中に広まってるわ。 それに、首尾良くフーケを捕らえれば、名を上げることができるのよ? ベストチャンスじゃない! ヴァリエールにはもったいないくらい」 ルイズは顔をしかめた。 どうやら2人はフーケを生かして捉えるだけのつもりらしい。 しかし、ルイズはフーケを殺害しに行く。 つまり、板挟みの形になる。 あちらが立てばこちらが立たずだ。 まいったことだと頭を悩ませながら、ルイズはその視線を、 キュルケの隣で黙々と本を読んでいる青髪の少女に移した。 その身長よりも大きな杖が印象的だ。 「で、なんでこの子までついてきてるわけ?」 ルイズの質問に、タバサがついと顔を上げて、 キュルケを指差した。 「心配」 一言そういうと、タバサは再び本を読み始める。 タバサが口数の少ない子であることは、 ルイズもある程度分かってきていた。 だから、その簡潔きわまりない返事に対して、イラつくようなことはしなかった。 しかし、このタバサという少女、馬車に乗ってからというものの、少々挙動不審であると、ルイズは感じていた。 本を読んでいるだけかと思ったら、時々顔を上げて、 DIOの方をチラチラと窺っているのだ。 まさかあのメイドみたいに手込めにしたのではないかと、 ルイズは一瞬冷や冷やしたが、どうやら違うようである。 DIOを見るタバサの目は、脅威と興味がない交ぜになったようなそれであり、 少なくとも好いた惚れたといったものではないことがわかる。 ならば、タバサがいくらDIOに気を向けようが、それはルイズの口を挟む領分ではない。 一方のDIOはと言えば……普段と変わらない。 体格上の理由から、馬車の一番後ろに陣取ることになったDIOは、 ルイズがせっかく買ってやった平民用の普段着を着ることなく、例の如く上半身裸だ。 出発の時、ルイズはこの事にかなりお冠だったが、DIOは一向に聞く耳を持たなかった。 これこそ自分のスタイルだと、言わんばかりだ。 確かに、半裸のDIOは、精密な彫刻のようである。 繊細ながらも力強さを感じるDIOの肉体には、男も女も持ち得ない、 奇妙な色気を感じる。 ほとんど四六時中行動を共にしているルイズにとってはたまったものではないが、 時間が迫っていたせいもあり、嫌々…本当に嫌々ながら放置することにした。 久方ぶりにルーンに魔力を注いでやろうとも思ったが、 この旅の終わりには、フーケが待ちかまえているのだ。 どうにも出来なかった。 精神力の消耗は、極力避けねばならないのだ。 DIOのベルトと、深緑色のズボンの両膝とに輝く、ハートマークの飾りが憎らしい。 そのDIOの足下には、以前買った剣が2本とも、無造作に転がっていた。 DIOによると、2本とも持ってきたのは、 片方を『予備』にするためらしい。 つまり、どちらかが折れてしまうかもしれないという事だ。 一体どちらがポッキリ逝ってしまうことになるのか、ルイズは楽しみだった。 ルイズの視線は、デルフリンガに一点に注がれていた。 ―――と、馬車でのぶらり旅が退屈になってきたのか、キュルケが、 さっきから何も話さずに手綱を握るロングビルに話し掛けた。 「ねぇ、ミス・ロングビル………、怪我をしてらっしゃるんだから、 手綱なんて、付き人にやらせればいいじゃないですか」 単純な親切心から出たらしいキュルケの言葉に、ロングビルはにっこりと笑った。 「いいのです。この方が、フーケの隠れ家までの距離が、よくわかりますの。 それに、わたくしは、貴族の名を失くした者ですから」 キュルケはキョトンとした。 ロングビルは、オールド・オスマンお抱えの、有能な秘書である。 そんな彼女が、貴族でないとは、一体どういうことだろうか? ロングビルの話によると、 オールド・オスマンは、貴族や平民といった事柄に、拘らない人なのだそうだ。 曰わく、 『ワシは、厳しい。 しかし平等主義者じゃ! 差別は許さん。 貴族、平民、王族、亜人、エルフ……etc. ワシは差別をせん。 全て、平等に価値が『無い』!!!』 だそうである。 あのオスマンなら、もっともなセリフだと、その場にいた4人は妙に納得した。 興味をそそられたのか、キュルケは少々突っ込んだ話をし始めた。 「差し支えなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」 貴族の名を失うことになった過程を聞こうというのだ。 ロングビルは困ったような微笑みを浮かべた。 言いたくないのだろう。 「いいじゃないの。教えてくださいな」 キュルケは興味津々といった顔で、ロングビルににじり寄った。 いい加減見ていられなくなったのか、そんなキュルケの肩を、ルイズが掴んだ。 キュルケはルイズの方に振り返ると、思いっ切り嫌そうな顔をした。 「なによ、ヴァリエール。 お呼びじゃないわ」 キュルケは聞き入れそうにもないが、注意せずに放っておくのも酷だと、ルイズは思った。 「よしなさいよ。昔のことを 『根掘り葉掘り』 聞くなんて………」 何の気なしに口にしたルイズの言葉に、タバサの体がビクンと跳ね上がった。 突然のタバサの動きに、2人はさっきまでの会話をすっかり忘れて、タバサの方を向いた。 見ると、タバサは顔を真っ赤にして、何かを口走ろうとしている自分を必死に抑えているようであった。 それでも無表情なのが逆に怖い。 「タ、タバサ………?大丈夫……?」 ただならぬ様子に、恐る恐るといった感じでタバサに話し掛けるキュルケ。 ルイズはというと、何が起きているのか、サッパリわからず、ポカンとしていた。 しばらく経った後、タバサがふぅと一息ついた。 ゆっくりと2人を見るタバサは、普段と全く変わりがない。 いつも通りだ。 「……なんでもない」 ポツリと呟いたタバサだったが、その言葉には、何も聞くなというような、変な迫力があったので、 2人はその言葉を鵜呑みにするしかなかった。 タバサは再び読者に勤しみ始めた。 ルイズは話を戻すことにした。 「とにかく、人が聞かれたくないことを、無理やり聞き出そうとするのは、 良くないと思うわ!」 ヴァリエールに対する反発心から、キュルケはルイズを軽く睨んだ。 「暇だから、お喋りしようと思っただけじゃない」 「ゲルマニアはどうだか知らないけど、トリステインでは、恥ずべきことなのよ」 キュルケは無言で足を組み、イヤミな調子で言い放った。 「ったく、大体あんた、どうしてフーケを捕まえようなんて思ったわけ? あんたのほうこそ、名誉が欲しいんじゃないの?」 ウシシと笑うキュルケに対して、ルイズは真顔になって答えた。 「私には、どうしても殺らなきゃならない理由があるわ」 キッパリと、突き放すように言うルイズに、キュルケは半信半疑な目を向けた。 「でも、あんた、いざフーケが現れたら、どうせ後ろから見てるだけでじゃないの? そこのDIOに全部まかせて、自分は高見の見物。 でしょ?」 2人は同時に、DIOを見た。 DIOは、移り変わる景色をただただ暇そうに眺めているだけだ。 ルイズは腕を組んだ。 「誰が逃げるものですか。 私も、魔法を使って何とかしてみせるわ」 「魔法? 笑わせないでよ。 あんなのは魔法じゃなくて、ただの爆発よ!爆発!」 当初の話題はどこへやら、 火花を散らす2人は、ギャーギャーと口げんかを始めたが、馬車が森のより深い場所へと入っていくと、 段々静かになっていった。 鬱蒼とする森は、昼だというのに薄暗く、気味が悪い。 ある程度まで進むと、ロングビルが馬車を止めた。 「ここから先は、徒歩で行きましょう」 ロングビルがそう言って、全員が馬車から降りた。 森を通る道から、小道が続いている。 「えっらく暗いわね……」 キュルケの呟きが、森に吸い込まれて消えていった。 森を進む一行は、開けた場所に出た。 森の中の空き地といった風情だ。 真ん中に、廃屋があった。 ロングビルによると、あれがフーケの隠れ家……らしい。 五人はむこうから見えないように、森の茂みに身を隠したまま、廃屋を見つめた。 人の住んでいる気配は全くない。 ルイズ達は、ゆっくりと相談をし始めた。 あーでもないこーでもないと策を練った結果、 タバサの案が採用される事となった。 『まず、偵察兼囮が、小屋に出向いて、中の様子を確認。 フーケが中にいれば、挑発して誘き出す。 そこを魔法で叩く。』 奇襲戦法であった。 集中砲火で、フーケを沈めるのだ。 「で、その偵察兼囮はだれがやるの?」 キュルケが尋ねた。 タバサは無言でDIOを指差した。 全員が一斉にDIOを見つめた。 DIOはため息をついた。 「………私か」 タバサがコクンと頷いた。 「いいじゃない。 名案だと思うわ。 というわけで、DIO、行ってきなさい」 DIOは丸腰のまま、気だるげに立ち上がった。 そして、スタスタと小屋まで近づくと、確かめもせずに小屋の中に入った。 4人は息をのんで見守っていたが、暫くすると、DIOが小屋から出てきた。 誰もいなかった時のサインを出すDIO。 全員が茂みから出て、小屋に歩み寄った。 「誰もいないな」 DIOがそういうと、ディテクトマジックを使って罠がないことを確認したタバサが、 小屋の中へと足を運んだ。 キュルケはなぁーんだと、拍子抜けしたような声を出した。 小屋に入ったキュルケとタバサは、フーケの残した手がかりを探し始めた。 DIOは、自分の仕事は終わりとばかりに、 部屋に突っ立っているだけだ。 家捜しを続ける2人だったが、やがてタバサが1つのチェストの中から……、 なんと、 『破壊の杖』を見つけ出した。 「破壊の杖」 タバサは無造作にそれをもちあげると、皆に見せた。 「あっけないわね!」 キュルケが叫んだ。 DIOはというと、タバサが抱える『破壊の杖』見た途端に、 訝しげな表情をした。 ロングビルと一緒に、小屋の外で待機していたルイズは、 『破壊の杖』発見の報告を受けて、眉をひそめた。 おかしい。 ロングビルの話では、フーケは罠を張って待ちかまえているというではないか。 魔法学院に忍び込み、宝物庫を破るほどの実力の持ち主。 恐らく、自分たちが森に入ったことなんか、とっくにお見通しだろう。 なのに、こうもやすやすと破壊の杖を渡すとは………。 これも、いや、ひよっとしたら、これこそが罠、か? それにしてもリスキーに尽きるだろう。 フーケの意図を読みかねて、ルイズはうむむと唸った。 ロングビルは、いつもの柔らかなものとは全く異なる鋭い視線で、小屋の様子を慎重に窺った。 3人とも、破壊の杖に目が釘付けだ。 次いで、ルイズを見た。 ルイズはロングビルに背を向けて、うむむと唸りながら、思案に耽っている。 ロングビルには目もくれておらず、自分の世界に入り込むルイズを見て、 ロングビルは薄く笑った。 今、彼女は完全にフリーだった。 自分の作戦がうまくいったと確信したロングビルは、喜びもそこそこに、 最後の詰めを行うため、コッソリと茂みの奥へと足を運んだ。 ――――その時だった。 突如何者かが、 "グワシィ!!!" と、凄まじい勢いで自分の肩を掴んだのだ。 ロングビルの体はまるで、『固定化』の魔法でもかけられたかのように、 硬直してしまった。 ……………まさか? いやいやいやいや、そんなバカな。 彼女と自分は、さっきまで、たっぷり15メイルは離れていたはずだ。 彼女であるはずがない。 では、今、自分、の肩、を、掴んで、いる、の、は……………………誰、だと、い、う、の、か? ゴクッと唾を飲む。 ロングビルは意を決して後ろを振り向いた。 「どこに行くのかな?かな?」 笑顔のルイズが、そこにいた。 to be continued…… 39へ
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不死 Ver2.1 データ 人獣ver.2.0 ver.2.1 ver.2.5 ver.2.6 ver.Re 2 ver.Re 2.1 ver.Re 2.2 神族ver.2.0 ver.2.1 ver.2.5 ver.2.6 ver.Re 2 ver.Re 2.1 ver.Re 2.2 魔種ver.2.0 ver.2.1 ver.2.5 ver.2.6 ver.Re 2 ver.Re 2.1 ver.Re 2.2 海種ver.2.0 ver.2.1 ver.2.5 ver.2.6 ver.Re 2 ver.Re 2.1 ver.Re 2.2 不死ver.2.0 ver.2.1 ver.2.5 ver.2.6 ver.Re 2 ver.Re 2.1 ver.Re 2.2 降魔ver.Re 2 ver.Re 2.1 ver.Re 2.2 考察 人獣ver2.0 ver2.1 ver2.5 ver2.6 verRe 2 verRe 2.1 verRe 2.2 神族ver2.0 ver2.1 ver2.5 ver2.6 verRe 2 verRe 2.1 verRe 2.2 魔種ver2.0 ver2.1 ver2.5 ver2.6 verRe 2 verRe 2.1 verRe 2.2 海種ver2.0 ver2.1 ver2.5 ver2.6 verRe 2 verRe 2.1 verRe 2.2 不死ver2.0 ver2.1 ver2.5 ver2.6 verRe 2 verRe 2.1 verRe 2.2 降魔verRe 2 verRe 2.1 verRe 2.2 No.028 SR ジャンヌ・ダルク No.029 R 天草四朗時貞 No.030 R サマエル No.031 UC ガルム No.032 UC チャリオット No.033 UC 清姫 No.034 C プリズン No.035 C ネクロマンサー No.036 C 怨霊 No.037 C スカルメイジ ジャンヌ・ダルク (SR) 不死No 028 名前 ジャンヌ・ダルク コスト 10 種族 不死 HP 410 移動速度 3 ATK 30 DEF 35 攻撃対象 複数 攻撃属性 炎 弱点属性 光 スキル なし サポートスキル リジェネ・W複スマ 特殊技 英霊の導き 分類 強化 特殊技効果 自身の攻撃力・防御力・移動速度を一定時間上げる[時・遅] 効果範囲 自身 イラストレータ 泉沢康久 DATA 身長 1.65 [meter] アタシが聞いた「声」が、本当に神の啓示だったかなんて、もうどうでもいい。声に従いイイ子のフリして、アタシが得たものはなんだ?!火だ! 投石だ! 手酷い裏切りだ!失ったものは何だ?!…イイことなんて、何一つ思い出せやしないじゃないか…アタシを見ろ! アタシ自身の、怒りの「声」を聞け! 体重 45 [kg] 出身地 ドンレミ村 別名 ラ・ピュセル 旧友 ジル・ド・レイ 目的 自身の仇討ち 考察 天草四朗時貞 (R) 不死No 029 名前 天草四朗時貞 コスト 30 種族 不死 HP 450 移動速度 3 ATK 85 DEF 40 攻撃対象 複数 攻撃属性 撃 弱点属性 光 スキル リペア サポートスキル なし 特殊技 冥府融合陣 分類 特殊 特殊技効果 範囲内の味方全てから防御力を一定時間吸収する。 効果範囲 自身を中心にドーナツ型 イラストレータ 岩佐 有祐 DATA 身長 1.75 [meter] 蛹から羽化する蝶のように、少年は死から黄泉帰って転生を遂げた。たちこめる煙と血の匂いに、信じていた神の手による復活ではないことを悟り、はらりと一粒の涙をこぼした。真珠の玉のような雫が地につく寸前、錫杖が閃き、周囲の外法衆とかつての仲間たちの頸を残らず刎ね飛ばした。やがて口元に冷たい笑みと、瞳に金色の輝きを宿し、焼け落ちる原城を飛び越えて、いずこかへと去って行った。 体重 60 [kg] 性格 生真面目 好きなもの 学問 嫌いなもの 嘘 享年 16歳 考察 サマエル (R) 不死No 030 名前 サマエル コスト 20 種族 不死 HP 450 移動速度 3 ATK 40 DEF 65 攻撃対象 拡散 攻撃属性 闇 弱点属性 光 スキル シールド サポートスキル 単スマ 特殊技 神の悪意 分類 罠 特殊技効果 マップに一定時間、移動速度低下のトラップを仕掛ける。さらに、HPを徐々に減らす。(トラップをセット後、一定時間を待ち、トラップ範囲内に敵が入ることにより自動で発動) 効果範囲 自身中心・円状 イラストレータ D-SUZUKI DATA 全長 8.2 [meter] ・・・禁じられたら、しないのか。自ら考えて、自らの意思で判断しないのか。何もかも、他人任せなのか。お前の「それ」への盲信は何を根拠にしている?信じるには、信じるに足る証拠がいるのではないのか?疑念は悪、だと? 違う、より強く信じるための、知恵だ。・・・ク、ク、ク。そうだ。喰らえ。・・・こちらにこい 重量 14.5 [t] 最高速度 影から影へ一瞬 生息域 深き闇の底 別名 誘惑の蛇 特技 詭弁 考察 ガルム (UC) 不死No 031 名前 ガルム コスト 15 種族 不死 HP 420 移動速度 2 ATK 40 DEF 50 攻撃対象 拡散 攻撃属性 炎 弱点属性 光 スキル リペア・Wシールド サポートスキル なし 特殊技 番犬の首輪 分類 特殊 特殊技効果 範囲内の敵・味方1体の移動速度を一定時間、自身と同じにする。[時・遅] 効果範囲 前方円形 イラストレータ 増田 幹生 DATA 全長 5.8 [meter] 今日もよく働いてくれて、どうも有難う。ヘルヘイムが今日も静かに過ごせるのもあなたのおかげよ。・・・少しばかり、退屈ではあるけどね。・・・もう寝たの? ・・・子犬の頃から変わらないのね。足をパタつかせて・・・ 終末の日、意中の人に会いに行く夢かしら。・・・そんなに熱心に思われるなんて、ちょっと妬けちゃうわ。――――ヘル 重量 4.6 [t] 最高速度 落石の如し 生息域 グニパヘリル 好きなもの ヘル 嫌いなもの テュール 考察 チャリオット (UC) 不死No 032 名前 チャリオット コスト 15 種族 不死 HP 420 移動速度 2 ATK 50 DEF 40 攻撃対象 単数 攻撃属性 撃 弱点属性 光 スキル リペア・シールド・サーチ サポートスキル Wレジスト 特殊技 ソードブレイク 分類 弱体 特殊技効果 範囲内の敵1体の攻撃力を一定時間下げる。さらに、通常攻撃範囲を縮小する。 効果範囲 前方円形 イラストレータ 増田 幹生 DATA 全長 4.2 [meter] 毒を盛られて錯乱した王者に終了の角笛は聞こえなかった。目に入る者を手当たり次第殺して走り続けた。兵士たちの矢でハリネズミになっても走り続けた。皇帝の命で闘技場ごと土に埋められても走り続けた。帝国が滅んで数百年後、大地震で壁は崩れた。眼前の広大な世界を前に、王者は歓喜の声を上げた。「敵ダ! 敵ダ! イクラデモイルゾ!」 重量 880 [kg] 最高速度 80 [km/h] 生息域 レノ遺跡 獲物 強く疾き敵 目的 世界の頂点 考察 清姫 (UC) 不死No 033 名前 清姫 コスト 20 種族 不死 HP 390 移動速度 3 ATK 40 DEF 65 攻撃対象 複数 攻撃属性 炎 弱点属性 光 スキル なし サポートスキル リジェネ 特殊技 釣鐘絞め 分類 弱点 特殊技効果 範囲内の敵1体の通常攻撃を一定時間、単数攻撃にする。 効果範囲 前方円形 イラストレータ Tomatika DATA 身長 小さいです・・・ 見つめないで下さいませ・・・近寄らないで下さいませ・・・無口な娘を気にかけて、望みなど与えないで下さいませ・・・もしあの時のように裏切られるようなことがあったら・・・きっと私はあなたを七重に取り巻いて・・・ 「焼き殺すわ・・・」 体重 重たいですか・・・? 最高速度 川くらい渡れます・・・ 生息域 黄泉 使命 償い 大事なもの あなた 考察 プリズン (C) 不死No 034 名前 プリズン コスト 10 種族 不死 HP 430 移動速度 2 ATK 55 DEF 10 攻撃対象 拡散 攻撃属性 雷 弱点属性 光 スキル リペア・シールド・サーチ サポートスキル 散スマ 特殊技 脱走警戒 分類 強化 特殊技効果 自身の防御力を一定時間上げる。 効果範囲 自身 イラストレータ 小城 祟志 DATA 身長 2.8 [meter] 怖いのです。檻の外が怖いのです。人生の大半を監獄で過ごした私には、外は未知の世界です。私の望みは死後もこの檻の中に居つづけることです。この檻の中だけが私の世界。この檻そのものが私なのです。お願いです、裁判長。二度と仮釈放など与えないで下さい。――――仮釈放直後、監獄の門前で8人殺害した男 体重 180 [kg] 最高速度 12 [km/h] 生息域 各地の廃城 捕食対象 罪人の魂 動力 罪悪感 考察 ネクロマンサー (C) 不死No 035 名前 ネクロマンサー コスト 15 種族 不死 HP 400 移動速度 3 ATK 35 DEF 60 攻撃対象 拡散 攻撃属性 闇 弱点属性 光 スキル サーチ サポートスキル - 特殊技 ネクロノミコン 分類 強化 特殊技効果 自身の攻撃力を一定時間上げる。さらに、味方の復活時間の合計により効果が上がる。 効果範囲 自身 イラストレータ 小城 祟志 DATA 身長 1.9 [meter] 扉を閉めてかんぬきかけろ街に出てきた死人使い ゾンビ引き連れ大行進かかと鳴らして鬼火を振れば たちまち生者に飛び掛かる外に出てはいけないよにたにた笑う死人使い 愛してるのは死人だけハットに覆われたお口が唄うオ前モ今日カラオ友ダチ! オ前モ今日カラオ友ダチ! 体重 50 [kg] 最高速度 夜の棖のごとく 出身地 墓地さ 理念 友愛の心さ 願望 世界に広めたいね 考察 怨霊 (C) 不死No 036 名前 怨霊 コスト 10 種族 不死 HP 390 移動速度 2 ATK 25 DEF 50 攻撃対象 単体 攻撃属性 雷 弱点属性 光 スキル リペア、Wシールド、サーチ サポートスキル - 特殊技 積年の恨み 分類 弱体 特殊技効果 範囲内の敵全てに一定時間、雷弱点を付加する。[時・遅] 効果範囲 前方扇状 イラストレータ 仙田 聡 DATA 身長 1.7 [meter] 「健気よのう! 女子の身で、かの「傀儡」を背負うとは!カッカッ! さあさ、者共! 群がれい!我ら一族を根絶やしにした憎き「村正」を潰す好機ぞ!こやつが疲れ果てて倒れた時、その身を土中に引き込み、我ら一族のなぐさみものにしてやろうぞ! 永遠にな!」あの声に耳を貸すな! 斬りまくるのよ! 夜明けまで!――――「妖刀武芸帖」其之四 体重 40 [kg] 最高速度 16 [km/h] 生息域 琵琶法師の歌の中 寿命 恨み果つる日まで 望み 「村正」の撲滅 考察 スカルメイジ (C) 不死No 037 名前 スカルメイジ コスト 25 種族 不死 HP 480 移動速度 2 ATK 60 DEF 60 攻撃対象 拡散 攻撃属性 雷 弱点属性 光 スキル リペア、Wシールド サポートスキル - 特殊技 サンダーレイン 分類 攻撃 特殊技効果 範囲内の敵全てに雷属性のダメージをあたえる。さらに、敵サーチアイを封印中は威力があがる。[時・早] 効果範囲 前方円形 イラストレータ 小城 祟志 DATA 全長 1.5 [meter] 学費の免除に加えて、実家へ援助金も出してくれるなんて、そんな都合のいい話をどして少しも疑わなかったんだ。魔力検定で高得点を出したことを鼻にかけていた自分の馬鹿さ加減に腹が立つ。・・・地下に閉じ込められて三日。一緒に入った特待生たちは、皆あれに融合されちまった。校長の「みんな仲良く」にはこういう含みがあったんだな。ちきしょうめ、ちっとも仲良くなんかできねえよ。 重量 45 [kg] 生息域 地下大図書館 目的 新魔法の研究 好きなもの いい子 嫌いなもの わるい子 考察 不死 Ver 2.0/不死 Ver 2.1 コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします ジャンヌが優秀すぎて混種でよく使われてるな。 サポートスキルも優秀で10コスだからどんなデッキにも入る。 -- (名無しさん) 2010-03-21 23 42 20 ジャンヌが糞みたいなババァのイラストならもう少し落ち着いた値段だっただろうなぁ。と思う持ってない奴のひがみでした ゾンビと同じCGだったらいいのにな。1000円位で買えそう -- (名無しさん) 2010-03-22 10 48 54 ジャンヌ、ババァになるまで生きてないからなぁ -- (名無しさん) 2010-04-14 00 10 39 ・・・美人薄命? -- (名無しさん) 2010-04-14 00 15 40 ネクロマンサー、UNCOMONじゃなくてCOMONですよね・・・? -- (名無しさん) 2010-05-31 13 26 25 ↑とりあえずスペル見直すことから始めるか?間違い指摘のつもりなんだろうが、恥ずかしいことになってるぞ? -- (名無しさん) 2010-06-01 06 31 12 しまったー・・・ 大変お恥ずかしい・・・ -- (名無しさん) 2010-06-02 15 40 12 史実ジャンヌ美人だっけ? まあ史実通りならジルは極悪だが -- (名無しさん) 2010-06-04 00 58 07 つか、ジャンヌどんな絵ですか・・・・? -- (ナナシ) 2010-06-04 15 56 17 ネクロマンサーのDEFって55じゃ -- (名無しさん) 2010-06-10 21 01 53 名前 コメント すべてのコメントを見る
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学院長室を退出したロングビルは、コルベールがいる図書室ではなく、その足で下の階にある宝物庫へと向かった。 階下に着いたロングビルは、鉄の巨大な扉を見上げる。 扉にはぶっとい閂がかかっていて、その閂もまた、巨大な錠前で守られていた。 この宝物庫には、魔法学院成立以来の様々な秘宝が納められているのだ。 ロングビルは、慎重に辺りを見回し、ポケットからエンピツほどの長さの杖を取り出した。 ロングビルが手首を振ると、するすると杖は伸びて、指揮棒ほどの長さになった。 仕込み杖だ。 ロングビルは、低い声で『アンロック』の魔法を唱え、錠前に向けて振った。 が……何の反応もない。 もちろんそれは想定内だ。 ロングビルはくすっと笑うと、自分の十八番である『錬金』の呪文を唱え、分厚い鉄のドアに向かって杖を振った。 が……やはり何も変化は無い。 これも予測済みだったが、自分の特技をあっさり跳ね返されて、ロングビルは少しムッとした。 「スクウェアクラスのメイジが、『固定化』の呪文をかけているみたいね…」 ロングビルはポツリと呟いた。 『固定化』は、物質を酸化や腐敗から保護する魔法だ。 物質をそのままの状態で文字通り永遠に固定化する。 これでは『錬金』の魔法も形無しだ。 自分が、その相手よりも格上のメイジなら話は変わってくるが、生憎とロングビルは『トライアングル』だった。 ロングビルはかけたメガネを持ち上げて、扉に手を当てた。 そして、コツコツコツと規則正しい足音をさせながら、ロングビルは扉に当てた手をするすると滑らせた。 別段意味など無いのだが、これから彼女の獲物となる相手を確かめたいような気持ちが、彼女をそうさせた。 ---と、不意に手のひらに違和感。 ロングビルは片眉を上げて、その箇所をまじまじと見つめた。 よく見ると、その部分には、不可思議な凹みがいくつもいくつも刻まれていた。 ロングビルはさらに目を凝らして、それが何かわかった瞬間あっと声を漏らしそうになり、慌てて口を押さえた。 これは……拳だ。 壁を殴りつけた拳の跡が、無数に刻まれているのだ。 ロングビルは一瞬分けが分からなくなった。 この拳の後は、つい最近つけられたようだ。 少なくとも『固定化』がかけられた後につけられたものだ。 ロングビルはすぐさま頭で否定した。 …バカな。スクウェアクラスのメイジがかけた『固定化』を、生身で打ち抜ける人間なんて、この世に存在するはずがない。 だが、事実、壁には無数の凹みからくるヒビすら刻まれていた。 しかも間近で見てみると、その拳はどうみてもそんな大男の物ではない。 子供か、それとも華奢な女性ほどの大きさしかない。 ロングビルは信じられないといった表情で、その拳跡の一つに指で触れた。 ---すると、ビシッという音を立てて、壁に刻まれている亀裂が大きくなった。 後悔しても時すでに遅く、一端きっかけを与えられた亀裂は、ロングビルが触った場所を中心に、 放射状に瞬く間に広がっていった。 そして、ガラガラと派手な音を立てながら、壁の一部が崩れた。 「……………………ウソ」 ロングビルは間抜けな声を出した。 信じられない…有り得ない…。 そんな言葉が頭の中でフラフープを回していた。 しかし結果は変わらない。 人一人は優に通れそうな穴が、ぽっこりと口を開けていて、中から煌びやかな光が漏れている。 ロングビルの頬に、冷や汗がつぅっと垂れた。 ……まずい。 なんだかわからないが、壁が崩れてしまった。 このまま便乗して、仕事に入っても良いのだが、今は昼だ。 さっきの豪快な音を聞きつけて、教師達がすぐにもやってくるかもしれない…。 仕事に移るのは夜だ。 今は、なんとかやり過ごさねば…! ロングビルは、悩みに悩んだ末、『レビテーション』を壁の破片にかけた。 壁の構成に変化を加えるわけではないので、破片はすんなりと浮かび上がった。 ロングビルはまさに指揮者のように杖を操って、破片を元の通りにはめなおし、穴を塞いだ。 無駄に力んだせいか、ロングビルはハァハァと息をあらげていた。 なんとかバレないくらいに体裁を整えたロングビルは、ふぅと一息ついた。 どうやら誰も気づかなかったらしい。 すぐ上にいるあの老獪なオールド・オスマンが気付かないのは腑に落ちなかったが、結果オーライだ。 ロングビルは杖をしまうと、逃げるようにしてその場から立ち去った。 早歩きで去っていく途中、ロングビルはさっき起こったことの原因を頭の片隅で考えていたが、ついぞ答えに行き着かないままであった。 ちょうどその頃、上の学院長室では、オールド・オスマンが、粉々に砕け散った『遠見の鏡』を前にして、いろんな意味で放心状態になっていた。 ロングビルは運がよかった。 to be continued…… 29へ
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DIOは、キュルケの場の空気を読まない発言のせいで、 力が抜ける思いだったが、 気持ちを新たに2本の剣をじっくりと眺めた。 やがてどちらを最初にするのか決めたのか、 その内の1本を手に取ると、 フーケに向けて槍投げよろしく投擲した。 意外な行動に少々驚いたフーケだったが、 流石は百戦錬磨といったところか、 弾丸のように回転しながら向かってくるソレを、 残ったゴーレムの片腕で、やすやすと叩き落とした。 "パキィン!"という甲高い音とともに、 投擲した剣は脆くも砕け散った。 だが、せっかくの武器を破壊されたというのに、 DIOは涼しい顔をしている。 「うむ、やはりか。 ルイズめ………まだまだ子供か。 ナマクラを掴まされおって」 果たして投擲された剣は、 ルイズが結構な金(といっても裏金だが)をはたいて購入した、 シュペー卿の剣であったのだが、 どうやらただのナマクラだったようだ。 あのオヤジに一杯喰わされたということらしい。 ルイズの教育は追々にするとして、 DIOの興味は、すでに2本目……デルフリンガーへと移っていた。 DIOは、デルフリンガーを鞘から引き抜いた。 途端に、デルフリンガーの柄がパクパク動いた。 「デェェエエエ!!?? な、なんか用なんすかぁぁぁあああ!? 後生だから、あの店に戻しちくり!! お願えだぁあぁあああ!!!」 抜かれるや否や、 ゲドゲドの恐怖ヅラで命乞いを始めるデルフリンガーの言葉に、 DIOは恍惚とした表情で耳を傾けた。 「次はお前の番だ。 せいぜい気張れ。 さっきのナマクラみたいに、 へし折れたくなければな」 「いぃやぁあああああ ああああああああ!!!!!」 「実にナイスな返事だ」 DIOは躊躇なくデルフリンガーを掴むと、ゴーレムに踊りかかった。 ゴーレムが、再生させた片腕で殴りかかるが、 DIOはそれをヒラリとかわし、 逆にその腕の肘から先を、デルフリンガーで切り飛ばした。 「ほほう。 錆びだらけの割には、なかなかどうして頑丈じゃないか。 ただの剣ではないようだな、デルフリンガよ」 所々に錆が浮かんでいるデルフリンガーを、DIOはしげしげと眺めた。 「ほ、褒めるくらいなら、 せめて名前を直して………」 顔色を窺うようなデルフリンガーの言葉は、 残念ながらDIOの耳には届かなかったようだ。 DIOの視線は、ゴーレムに注がれていた。 ゴーレムは、切り飛ばされた腕を再生しようとしていたが、 その速度は先ほどに比べると緩慢だった。 どうやら、再生能力にも限界があるらしい。 そのあたりは、吸血鬼である自分とほぼ変わらないようだ。 ―――つまり、再生仕切れないほどの損傷を一気に与えてやれば、 ゴーレムを倒せる。 そう判断したDIOは、唇を笑みで歪めた。 一気に。 瞬時に。 時間差もなく。 これは、DIOの最も得意とするところであった。 DIOはデルフリンガーを片手に、地面を蹴った。 凄まじい跳躍力で、瞬く間にゴーレムの顔辺りまで上昇する。 奇しくもそれは、ルイズのとった行動の焼き直しだった。 肩に乗るフーケと、目が合う。 しかし、同じ手に二度は驚かぬとばかりに、 フーケは切り飛ばされなかった方のゴーレムの腕を、 即座にDIOめがけて振るった。 ルイズの時より断然早い。 タイミングから言えば、ルイズだったらモロに喰らって ミンチにされていただろう。 それほどの瞬速の一撃だったが、DIOは何食わぬ顔だ。 唸りを上げて迫るゴーレムの一撃を意に介すことなく、 言葉を紡ぐ。 それは、 世界の全ては自分の支配下にあるという宣言に近かった。 「『ザ・ワールド(世界)』!!!!」 ―――ドォオオオオン!!!――― ………そして、時が停止した。 ゴーレムは、ただの石像のように固まった。 フーケは明確な殺意を顔に浮かべたまま動かない。 いつも騒がしいデルフリンガーは、水を打ったように沈黙していた。 上空のシルフィードも、 はばたいていないにも関わらず、墜落しない。 ワイヤーで吊り下げられたみたいに空中で停止している。 キュルケとタバサも、心配そうな顔で地面をのぞき込んだ状態で、止まっていた。 「時は止まった………」 ゴーレムの鼻辺りで、何故か空中浮遊しているDIOが呟いた。 重力を軽く無視した行為なのだが、 幸いにもそこに突っ込んでくる相手は、 ここにはいなかった。 しかし、いつぞやの決闘の時と違って、 左手のルーンは輝きを放っていない。 つまり、長く『止める』ことは出来ないということだ。 どうしてなのかは分からないが、分けの分からない力を頼りにするほど、 DIOはお人好しではなかった。 グズグズしている暇はない。 DIOは、物言わぬフーケを指差した。 「私『は』お前には手出しをせん。 ルイズがお前をご所望のようだからな」 そういって、沈黙するデルフリンガーを横に薙いだ。 "ズバァッ"と形容しがたい音を響かせて、 ゴーレムの首が飛んだ。 間髪いれずに手を振ると、 DIOの体から幽霊……『ザ・ワールド』が現れ、 亜音速で両の拳を繰り出した。 『無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無駄無駄ァ!!』 上半身のみの『ザ・ワールド』が、 嵐のようなラッシュをゴーレムの頭部にお見舞いし、 ゴーレムの頭部は、無残な『土くれ』へと還った。 ~1秒経過~ ようやっと落下を始めたDIOは、 落下するに任せて、デルフリンガーを縦横無尽に振り回した。 吸血鬼の腕力も手伝って、 ゴーレムがあっさりと細かく切り刻まれていく。 切り刻まれたゴーレムの破片を、 『ザ・ワールド』が正確に打ち砕いていった。 ~1秒半経過~ 上半身から下半身へ………DIOが着地した時、 ゴーレムはもうほとんど原型を留めていなかった。 かろうじて、DIOの手が回らなかった四肢の末端部分だけが、 虚しくゴーレムの名残を残す。 足場をなくしたというのに、 フーケの体は、 先程と変わらぬ姿勢で宙に浮いている。 後が大変そうだ。 軽やかに着地したDIOは、空を仰いだ。 「さぁ、これでいいのだろう、ルイズ。 ……後はお前の出番だ」 どうやら、時間切れらしい。 時間にしてみれば、2秒ほどだったが、 DIOにとっては深い意味を持った。 2秒。 ルーンに頼らず、2秒。 以前はルーンの助けを借りて、3秒がやっとだった。 DIOは己の力の回復を、 「時間」という形で実感していた。 ~2秒経過~ ―――この間、 止められる時間が短かったせいか、 それともあまり深く考えていなかったせいか、 DIOがルイズを注視することは 遂になかった。 ……だから、DIOは気づかなかった。 時の停止した空間の中、シルフィードに跨るルイズの指が、 僅かに……髪の毛ほどの刹那、ピクリと痙攣したことに。 …DIOは気づかなかった。 「そして時は動き出す」 to be continued…… 44へ
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キュルケは戸惑っていた。パーティーと言われたからには一応の着飾りはしたが、だからと言って酒を飲んではしゃぐような気分にはなれそうにない。周りを見渡して、彼女はひっそりと溜息をついた。 アルビオン王党派最後の牙城、ニューカッスル城。パーティーはそのホールで行われていた。上座に設置された簡易の玉座に腰掛けて、国王ジェームズ一世は老いた双眸を細めて集った臣下を見守っている。貴族達はまるで園遊会であるかのように豪奢に着飾り、テーブルの上にはこの日の為に取っておかれたと思しき様々な御馳走が並んでいた。キュルケでさえ滅多に御眼にかかれないほど華やかなこのパーティーに、燃え尽きる寸前の蝋燭の炎のような儚さを覚えて、キュルケはたまらなく虚しかった。 しかし、それにも増してキュルケを当惑させたのは、ルイズ達仲間の行動だった。ルイズは悲しげな顔一つ見せず、話し掛けてくる貴族達と微笑んで会話を交わしている。ギーシュは沈鬱な顔をしている女性の元へ駆けて行っては、彼女達を笑わせていた。タバサはいつも通りの無口だが、同好の士であるのか十数人の貴族達と共にはしばみ草のテーブルを囲んで会話に興じている。ワルドも また如才なく笑顔を浮かべて挨拶に回っていた。そしてあのギアッチョまでもが、貴族達に勧められたワインを嫌な顔一つせず飲んでいた。 ――どうしてそんな顔が出来るのよ……! キュルケにはさっぱり理解が出来なかった。貴族達にも、悲痛な顔をしている者は誰一人としていない。悲しんでいるのは自分だけだとでも言うのだろうか。まるで自分だけが仲間外れのようで、キュルケはいたたまれない気持ちになった。 キュルケはもう部屋に戻ってしまおうかと思い始めたが、その時彼女の後ろから声がかかった。 「何やってるのよ、キュルケ」 キュルケは反射的に身体を捻る。腰に手を当てて、困ったような顔でルイズが立っていた。 「一人でどうしたのよ キュルケらしくないじゃない」 「……らしくないって、そりゃこっちの台詞よ」 キュルケは疲れた眼をルイズに向ける。 「揃いも揃ってどうしたのよあなた達 何でそうやって笑っていられるわけ?さっぱり解らないわ!」 無理やりにワインを飲み干して、キュルケは首を振った。 「明日全員死ぬのよ?あなた達それが分かってるの?」 「分かってるわよ」 「だったら……!」 理解出来ないという感情が、キュルケに怒りを感じさせる。珍しく声を荒げるキュルケに、ルイズはどこか優しげな声を掛けた。 「キュルケ」 「……何よ」 「明日全滅するなんてこと皆分かってるわ だけど彼らには死して何かを為す『覚悟』がある だったらわたし達がするべきことは、嘆き悲しむより彼らと一緒に笑うことよ」 わたしはそう思うわ、と静かに言うルイズをキュルケはハッとした顔で見直す。 「――…………そう……よね」 何を勘違いしていたのだろう。彼らの為の涙など、もはや溺れてしまう程に流されているに決まっているではないか。今彼らが 欲しいものは涙か?同情か?答えはきっと違うはずだ。 キュルケはもう一度彼らを見渡す。明日死ぬ身とも思えぬ笑顔で、彼らは穏やかに談笑していた。その笑顔に一片の曇りもないことを、キュルケはようやく理解する。その葛藤も覚悟も理解して、ただ笑って彼らを見送ること。彼らアルビオン王家最後の戦士達が欲しいものは、きっとそれだけなのだ。キュルケは薄く笑って首を振る。 「……まさかあなたに諭されるなんてね」 「しっかりしなさいよ、キュルケ」 キュルケを悪戯っぽく見上げて、ルイズは彼女に応えた。 衣装を整えながら、キュルケは「それにしても」と呟く。 「ルイズ……あなた変わったわね」 「……そう?」 きょとんとした顔をするルイズを見遣って、キュルケは笑う。 「以前のあなただったら、早々にここを抜け出して一人で泣いてたでしょうからね」 「なっ……それはあんたでしょ!肖像画に描かせてやりたいぐらいの顔してたくせに!」 などと言い返しながらも、ルイズは何かを考え込むような仕草をした。 その格好のまま、ルイズはぽつりと口にする。 「…………そう、かも知れないわね」 片手に持ったワインに口をつけて、ルイズはホールに眼を向けた。 中央近くでウェールズと言葉を交わしている男を見つけて、ルイズは嬉しいような困ったようなよく分からない顔をする。 「……感化されたのかしらね あいつに」 「……ギアッチョ、ね……」 キュルケはルイズに習ってホールの中央に眼を向ける。 不思議な男だった。所構わずキレる暴れる、殺人に躊躇すらない無愛想な平民。なのにルイズは、そしてギーシュやタバサまでが彼に何らかの影響を受けているように思う。恋愛感情ではないが、 キュルケもまたギアッチョにどこか惹かれている自分を感じていた。 有体に言えば――友情、だろうか。それとも、 ――友愛……かしらね? キュルケは腕を組んで呟いた。 学院の教師達よりも遥かに頼りになる男。それが彼女達の共通した認識だった。しかしそれでいて、ギアッチョには何故だか危うげな所がある。頼れる仲間であると同時に、キュルケにとってギアッチョはどこか心配になる友人だった。もっとも、友人とはこっちが、というか殆どギーシュが一方的に名乗っているだけの話だったが。 ――やれやれ……こっちのラブコールが届く日は来るのかしらね ギアッチョが自分達に自身のことを話す日は、果たして来るのだろうか。ギアッチョと共にいればいるほど、彼の正体が知りたくなる。 もしもギアッチョが口を開く時が来るのならば、それはきっと自分達を友人として認めてくれた時なのだろうとキュルケは思った。 「……ところで……あの、キュルケ」 「え?あ……何?」 思考に没入していたキュルケは、その声で我に返った。ルイズに眼を遣ると、彼女は何だか不安そうな顔で自分を見ている。 「…………その ラ・ロシェールで…………どうして、助けてくれたの?」 「へ?……え、えーと、それは……」 あまりにストレートなルイズの質問に、キュルケは思わず焦った。 今までのルイズなら、「誰が助けてくれなんて言ったのよ!」で終わりだったはずだ。やっぱりルイズは変わったと、少々混乱気味の頭でキュルケは考えた。 「…………か、考えてみれば ギアッチョを召喚した時も、キュルケが真っ先に……た、助けてくれたじゃない……?フーケの時だって……」 不安げな眼で二十サント近く身長の違うキュルケを見上げて、ルイズはおずおずと問い掛ける。 「……どうして?」 「ど、どうしてって……当たり前でしょ?あなたはと……」 「と?」 友達、と言いかけてキュルケはハッと我に返った。 「う……と……と、当代きってのライバルなんだから!」 ――あ……危ない危ない ギーシュに影響されてたわ…… 初めて自分に向けられたルイズのしおらしい言動に混乱していたキュルケは、何とか自律を取り戻した。心でほっと溜息をついてルイズに向き直ると、彼女は少し俯いているように見える。 「……そうよね わたし達、宿敵だものね……」 ――う………… しん、と二人の間が静まり返る。今まで何度も言ってきた言葉のはずなのに、キュルケは何故だかどうしようもなく胸が痛んだ。 「宿敵」というたった二文字の言葉がこれほどまでに心を抉るものだとは、今まで思いもしなかった。 優しい言葉の一つも掛けてやりたかったが、プライドと家名に邪魔をされて、キュルケは何を言うことも出来なかった。 自分もルイズと同じだということに、キュルケはようやく気付く。 二人を嘲笑うかのように続く静寂が痛い。今すぐそれを打ち消したくて、キュルケは思わず言ってしまった。 「……そうよ、こんなところで死なれちゃあなたの恋人を奪う楽しみがなくなるもの …………さ、私はパーティーを盛り上げて来るとするわ 格の違いを教えてあげるからよく見てることね」 捨て台詞のようにそう言って、キュルケはルイズの返答も聞かずに歩き出した。背中に感じるルイズの視線を振りほどくように、キュルケは足早に去ってゆく。歩きながら、キュルケは思わず胸を抑えていた。いつもと同じ売り言葉のはずなのに、どうしてこんなに胸が痛いのだろうか。答えに気付かない振りをして、キュルケはパーティーの人ごみに姿を消した。 わたしは馬鹿だ、とルイズは思う。自分は一体キュルケに何を言って欲しかったのだろう。ヴァリエールとツェルプストーとして、同じ一人の人間として今まで散々いがみ合ってきたキュルケに、今更何を言って欲しかったのだろうか。 ――馬鹿よ、わたしは…… わたしとキュルケは永遠に宿敵同士……それ以外に、わたしを助けるどんな理由があるというの? ルイズは俯いて片手のワインに眼を落とす。「宿敵」という言葉の重みを、彼女もまた痛い程感じていた。 ポロン、と澄んだハープの音が響く。耳慣れないその音に、ルイズは思わず顔を上げた。 「……キュルケ」 ジェームズ一世の御前でハープを奏でているのは、他ならぬキュルケであった。己に集う幾百の視線を物ともせずに、キュルケは優雅にハープを弾いている。その旋律の美しさに、ルイズは眼を見張った。普段の彼女からは想像もつかない繊細な手つきで紡がれる音色に、この場の誰もが聞き惚れていた。 「これはなかなか、大したものだね」 隣から見知った声が聞こえて、ルイズはそっちに顔を向ける。 ワインを傾けながら、ワルドがそこに立っていた。 「ワルド」 「彼女にこんな特技があったとはね…… それに面白い弾き方をする静かな曲だというのに、どこか情熱的だ」 ルイズは改めてキュルケを見る。正しくワルドの言う通り、キュルケの演奏には繊細さと情熱が渾然一体となって現れていた。まるでキュルケ自身を表したかのようなその音色に、いつしかルイズも瞳を閉じて聞き惚れていた。 万雷の拍手に包まれて演奏を終えたキュルケを見届けてから、ワルドはルイズに向き直った。 「ルイズ 今、少し話せるかい?」 「ええ……どうしたの?」 ワルドは真剣な顔でルイズの瞳を覗き込む。 「ウェールズ殿下が式を挙げてくれる…… 明日、結婚しよう」 「え…………」 ワルドのプロポーズに、ルイズはワイングラスを取り落としそうになった。何だかんだで結論を先延ばしにしているうちに、ルイズは結婚の話などまだまだ先だといつの間にか思い込んでいたのである。ワルドは既に明日の挙式の媒酌をウェールズに頼んでいるらしい。つまり、これ以上話の先送りは出来ないということになる。 いきなり決断を迫られて、ルイズはしどろもどろで返事をした。 「え…………えっと、その……わ、わたし……」 「いきなりで驚かせてしまったかな しかしどうしてもあの勇敢な皇太子殿に、僕らの婚姻の媒酌をお願いしたくてね」 ワルドはそこで言葉を切って、ルイズの両肩に優しく手を置いた。 「愛しているよ、可愛いルイズ 君は僕を都合のいい男だと罵るかもしれない だけどルイズ、君を前にして自分の気持ちを偽ることなんて僕には出来ないんだ」 ルイズから一瞬たりとも眼を逸らさずに、ワルドは堂々として言う。 「……受けてくれるかい?僕のプロポーズを」 「……ワルド、わたし……」 ルイズは強制的に、思考の海に引き戻された。どうして快諾出来ないのか、どうしてギアッチョが心に引っかかるのか。蓋をしていた疑問が、再びルイズの中で回りだした。自分はワルドが好きではないのだろうか?いや、それは違う。ワルドのことは好きだ。好きなはずだ。 幼い頃からの憧れは、今だって消えてはいないのだから。 ワルドとの婚姻を拒否すれば、父や母は悲しむだろう。しかし結婚してしまえば、ギアッチョはどうなるのだろうか。同じ部屋に暮らすというわけには勿論いかないだろう。それどころか、気軽に会うことさえ出来なくなるかもしれない。未だウェールズと話し合っている彼に、ルイズはちらりと眼を向けた。 ――だけど………………きっと、そのほうがいいんだわ 少し悲しげに眼を伏せて、ルイズは独白する。 この旅で解ったことがある。ギアッチョの心は、未だに暗殺者のものなのだ。彼は常に敵を殺すつもりで戦っている。ワルドとの決闘でさえも、一度はワルドの首を薙ごうとしていた。恐らくそれは、半ば以上に無意識の行動なのだろう。ギアッチョにとっては、敵は殺すものであり、攻撃は命を絶つ為のものに他ならない。そして、ギアッチョはもはやそういうことを意識すらしていないのだ。刃を使うなら首を、臓腑を、腱を断つ。拳を使うなら眼を狙い喉を潰す。 急所以外の場所を狙うという選択肢は、そうする必要がある時初めて現れる。神経、細胞の一つに至るまで、彼の心身は未だ暗殺者のそれに他ならなかった。 しかし、彼はもう暗殺者ではないのだ。いずれイタリアへ送り返す日が来るとしても、その地でさえ彼は暗殺者「だった」男に過ぎない。 ルイズはこれ以上、彼に血に塗れた道を歩かせたくなどなかった。 もう十分じゃない、とルイズは呟く。ギアッチョ自身がそう思っていなくとも、殺人という行為は確実に彼の心を蝕んでいる。 出来ることなら、ギアッチョには平穏に暮らして欲しかった。 だが、自分と一緒にいればまた今回のような事態が起こるかもしれない。自分と――いや、メイジと関わり続ける限り、争いと無関係ではいられないのではないか。ならば、とルイズは思う。 ならば、自分とはもう一緒にいないほうがいいはずだ。ギアッチョにはマルトーやシエスタ達がいる。彼らと共に生きることこそが、ギアッチョにとっての幸福なのではないだろうか。 出来ることなら、ギアッチョにはずっと傍にいて欲しい。しかし、それがギアッチョを殺人へ向かわせるというのなら。 スッと顔を上げて、ルイズははっきりとワルドに答えた。 「……喜んで、受けさせてもらうわ」 パーティーは和やかなムードのまま幕を閉じた。宴の始末をしているメイド達の他には殆ど人のいなくなったホールで、ギアッチョ、キュルケ、タバサの三人は、眼を回して床に倒れているギーシュを呆れた顔で見下ろしていた。 「…………うっぷ……」 どうやら調子に乗って飲みすぎたらしい。ギーシュは真っ青な顔を気持ち悪そうに歪めている。 「あなた船の上から酔いっぱなしじゃない しっかりしなさいよ」 「ふぁい……調子に乗りすぎまひた……っぷぁ……」 キュルケは溜息をついて隣の二人を見遣る。 「……ねぇ、これどうするの?こんなの担いで行きたくないわよ私」 「しょうがねーな……凍らせて転がすか」 「ええっ!?二つ目の選択がそれ!?」 「せめてもっと人間らしい方法を」と言うギーシュと「今のてめーは家畜以下だ」と言うギアッチョ達の間で、結論はなかなか出なかった。 いい加減業を煮やしたギアッチョはもうここに放置していくかと言いかけたが、その時タバサが何かを考え付いたように顔を上げた。 「待ってて」 と短く口にしてどこかへ行ったタバサが持って帰ってきたものは、ご存知はしばみ草のサラダだった。小皿に山のように盛られたそれを、タバサは構えるように掲げ上げる。ギーシュは真っ青な顔から更に血の気を引かせてあとずさった。 「……あはははは……じょ、冗談がキツいねタバサは…… その量は明らかに致死量を超えウボァーーー!!」 タバサの右手に構えられた毒物はギーシュの口に裂帛の気合と共に叩き込まれ、ギーシュは見事な放物線を描いて再び頭から倒れ落ちた。 ウェルギリウスと名乗る男に連れられて辺獄から氷結地獄までたっぷり地獄観光をした後で、ギーシュの意識はようやくハルケギニアへ帰ってきた。 「ハッ!?ハァハァ……こ、ここは一体!?あの悪魔は!?」 冷や汗をダラダラと垂らしながら怯えた様子で周囲を見渡すギーシュに、キュルケはこめかみを押さえてタバサを見た。 「……タバサ」 「何」 「やりすぎ」 「……修行が足りない」 「ところで君達聞いたかい?」 はしばみ草のおかげで酔いと共に抜けてしまった抜けてはいけないものが何とか身体に戻ると、ギーシュは何事もなかったかのように平然と口を開いた。 「何のことよ?」 三人を代表して、ややうんざりした顔でキュルケが問う。 「結婚だよ!さっきそこで子爵がルイズにプロポーズしてたんだ」 「……それホント?」 「本当さ しっかり聞き耳……じゃない、聞こえてきたんだから」 胸を張るギーシュを無視して、キュルケは簡潔に問う。 「ルイズの返事は?」 「……OK、だそうだよ 明日ウェールズ殿下の媒酌で式を上げるらしい」 その言葉に、キュルケは顔を複雑にゆがめた。 「何よそれ…… バカじゃないの?学院やめることになるかも知れないのよ!」 「ぼ、僕に言われても困るよ 本人が決めたことならしょうがないだろう?ねぇギアッチョ」 ギーシュが助けを求めるようにギアッチョに眼を向ける。いつも通りの読めない顔で一言、彼は「まぁな」と呟いた。 「何か悩んでる風ではあったがよォォ~~ それに自分の意思で答えを出したってんならオレ達に文句を言う余地はねーだろ」 ギアッチョは顔色一つ変えずにそう言うと、キュルケが言葉を差し挟む前にパン!と手を鳴らす。 「ほれ、てめーらはとっとと部屋に戻って寝ろ 追って沙汰はあるだろーが、式に出るにしろ出ねーにしろ朝は早くなるからな」 確かに、非戦闘員を乗せる船の出港は早い。睡眠を取っておかなければ、最悪アルビオンに骨を埋めることになるだろう。 まだ不服そうな顔をしているキュルケを促して、ギーシュはホールの出口へ向けて歩き出す。タバサがその後をついていくが、 「タバサ、てめーは残れ」 ギアッチョの言葉で、彼女はぴたりと足を止めた。次いでギーシュとキュルケも彼を振り返る。 「ギ、ギアッチョ まさかとは思うが君、そんな趣味が」 全てを言い終える前に、ギーシュはウインド・ブレイクで扉の外へ消え去った。 「意外と荒っぽいことするわね」 「口は災いの元」 殊ギーシュに関しては正にその通りだと思いながら、キュルケはギアッチョに顔を戻す。 「で、私達がいるのはお邪魔なわけ?」 「そうだ」 即答されてキュルケは少し驚いた顔をしたが、ギアッチョがそう言うなら仕方ないと判断して、少し唇をとがらせながらも頷いた。 「……そう言うならしょうがないわね じゃ、私達は先に戻ってるわ」 片手をひらひらと振って、キュルケはあっさりと歩き去った。 彼女が扉の向こうへ消えたのを確認してから、タバサはギアッチョを見上げて口を開く。 「……何?」 廊下に大の字になって伸びているギーシュを見下ろして、キュルケは溜息をついた。 「なんなのよ、もう……」 「ギアッチョのことかい?」 言いながらギーシュはむくりと起き上がる。 「……ルイズのことよ どうしてこんなに慌てて結婚しなくちゃいけないわけ?退学することになるかもしれないしギアッチョとも疎遠になるじゃない!」 「全くだね 薔薇は多くの人を楽しませる為にあるというのに」 「……あなたが言ってももう何の説得力もないわよ」 造花の杖をキザに構えるギーシュをジト目で睨む。なんだかバカらしくなって、キュルケは更に一つ溜息をついた。そそくさと薔薇の杖をしまうと、ギーシュは急に真面目な顔でキュルケを見る。 「……学院に居たくないということも、あるのかも知れないね」 「……え?」 「だってそうだろう?学院内に自分の味方が誰一人いない状態で、僕はむしろよくルイズがここまで頑張ってこれたと思うよ」 「そ、それは違うわ!」 慌てたように言うキュルケに、ギーシュは困った顔で笑う。 「そう、違うよ。僕達はもういつだって彼女の味方だし、先生にもルイズをなんとかしてやりたいと思っている人だっているはずさ。 だけどルイズは、きっと言わなきゃそれに気付けないんだ」 「……私は――」 「……ねえキュルケ そろそろ素直になるべきじゃないのかい? 両家の確執は僕にも分かるよ だけどルイズはルイズで、君は君だ。そうだろう?」 答えないキュルケの瞳を覗き込んで、ギーシュは続けた。 「これが最後のチャンスかもしれない 彼女に会いにいこう、キュルケ」 キュルケは言葉もなく立ち尽くしている。ギーシュもまた、他に言うことはないという眼で、無言のままキュルケを見つめていた。 重い沈黙が場を支配する。ほんの数秒、しかしキュルケにとっては無限のように感じられた数秒の後、彼女は苦しげな顔を隠すようにギーシュに背を向けた。 「………………私は、あの子の友達なんかじゃないわ」 絞り出されたその言葉に、今度はギーシュが溜息をついた。 「……それが君の答えかい」 「事実を言っただけよ」 素直じゃないのは分かっている。意固地になっているのも理解している。だけど、認めるわけにはいかない。自分達の意思がどうあれ、自分はツェルプストーで彼女はヴァリエール。未来永劫、それだけは変わらないのだから。だから――そう、今自分がここにいるのは、ただの気まぐれなのだ。他に理由などありはしない。それが、キュルケの答えだった。 「……それじゃしょうがないな、この話はおしまいにしよう。僕一人頑張ったところでどうにもならないからね ……僕は寝るとするよ」 「え?ちょ、ちょっとギーシュ……!」 キュルケの声を掻き消すように「おやすみ」と言い放って、ギーシュはマントを翻して去っていった。 「……何よ 一人前に怒ったってわけ……?」 キュルケはその場から動けなかった。後を追うことも怒鳴ることも出来ずに、彼女はまるで叱られた子供のような顔で立ちすくむ。 綺麗な指先で赤い髪を弄って、キュルケは自分の心を誤魔化すように呟いた。 「……つまんない」 「……概ね理解した」 相変わらず小さな声でそう言うタバサを見下ろしてギアッチョは問う。 「頼めるか?」 こくりと頷いて、タバサは了承の意を表した。ついと眼鏡を押し上げて、ギアッチョは「悪ィな」と口にする。 「どうして?」 「見れねーだろ」 「……別にいい あなたが正しいなら、見る意味はない」 「ま……あくまで可能性の話だがな」 そう言うと、ギアッチョは次々に片付けられてゆくテーブルに眼を移す。 「……ここまで深く関わってんだ 任務の詳細ぐれーは教えてやってもいいとは思うんだがよォォ~~」 ままならねーもんだ、と呟くギアッチョを見事な碧眼で見つめて、タバサはふるふると首を振った。 「かまわない あなた達の立場は理解出来る」 その言葉に追従ではないリアルなものを感じて、ギアッチョはタバサに眼を戻す。どうにも不思議な少女だった。 燭台に照らされた廊下を並んで歩きながら、ギアッチョはここでも本を読むタバサを見て一つ知りたかったことを思い出した。 「……学院のよォォ~~ 図書館とやら、ありゃあ誰でも入れるのか?」 タバサは怪訝な顔でギアッチョを見上げる。ギアッチョが読書に勤しむタイプだとは、どう見ても思えなかったのだ。 「……平民は、入れない」 タバサは怒るかと思ったがどうやら予想の範囲内だったらしく、ギアッチョは一言「そうか」とだけ返事をした。 「……調べ物?」 と訊いてから、タバサはハッとした。自分はこんなことを訊く人間だっただろうか。他人に干渉しなければ、干渉されることもない。それが「タバサ」の生き方のはずだった。だというのに、自分は一体どうしてしまったのだろう。そんなタバサの胸中など知らず、ギアッチョは当たり障りのない言葉を返す。 「そんなところだ」 そこでタバサはふと思い出した。そういえば、ギアッチョが召喚されてから程なくして、ルイズが毎日図書館に通うようになったはずだ。 勤勉な彼女は今までも週に数回は勉強の為に足を運んでいたが、日参するようになってからはどうも別のことをしているようだった。 一度彼女に使い魔を送り返す方法を知らないかと訊かれたことがある。その時はギアッチョと喧嘩でもしたのだろうと思っていたが、ひょっとすると何かのっぴきならぬ事情で今もそれを探しているのではないだろうか。そう認識したタバサの理性がストップをかける前に、彼女の口は言葉を紡いでしまっていた。 「……帰りたい?」 言ってから、タバサはしまったと思った。ギアッチョは二重の意味で少し驚いたが、しかし特に追求もせず口を開く。 「――……どうなんだかな」 タバサははぐらかされたのかと思ったが、彼の表情を見るに、どうやら本当によく分からないらしい。自分の推測が当たったことよりも、今のタバサには何故かギアッチョの去就が気になって仕方がなかった。 「ルイズじゃあねーか どこに行ってたんだおめー」 ギアッチョの声で、タバサの思考は中断された。前に眼を遣ると、そこにはルイズがギアッチョに出くわしたことに驚いたような顔で立っている。 「……あ…………」 かと思うと、彼女の顔がみるみるうちに真っ赤に染まり――次の瞬間、ルイズは一言も発さぬままに俯いて駆け出していた。 「ああ?」 ギアッチョが何か問い掛けるより早く、自分達の横を一目散に駆け抜けて、ルイズはそのまま回廊の薄闇に走り去った。 肩越しに後ろを覗き込んで、ギアッチョはやれやれと言わんばかりに首を振った。 「……相変わらず行動の読めねーガキだな。まだ何か悩んでやがるのか?」 パタリと本を閉じて、タバサは呟くように答える。 「……恐らくそう」 自分に眼を落としたギアッチョを見返して、タバサは「でも」と言葉を繋ぐ。 「私の考えが正しいなら、これは彼女自身の問題」 「ほっとけっつーことか?」 「私達が何かを言っても、彼女は頑なになるだけ」 フンと鼻を鳴らして、ギアッチョは再び歩き始めた。 「全然解らんが……ま、てめーがそう言うならほっとくか」 オレにもまだやることがある、と呟くギアッチョをタバサは幾分歩調を速めて追いかけた。 どこをどう走ったのかは全く覚えていない。ギアッチョと眼が合うことだけが恐くて、ルイズはただただ闇雲に廊下を走り回り――気付けば彼女は、いつの間にか自室に辿りついていた。思い切って扉を開くと、ギアッチョはまだ戻ってはいないようだった。服も着替えずにベッドに飛び込み、頭から毛布を被る。煩く鳴り響く心臓を押さえて、ルイズはぎゅっと身体を縮こまらせた。 ――何なのよ………… ルイズは自分が解らなかった。ワルドのプロポーズを受けてから、彼女の脳裏にはずっとギアッチョの姿がちらついている。頭から追い出そうとすればするほど、それは鮮明な像を結んでルイズの心を責め立てた。理由なんて知らない、分からないとルイズは己に言い聞かせるように繰り返す。 しかし、この胸の苦しさだけはどうしても誤魔化せなかった。廊下で偶然ギアッチョと出くわした時、ルイズは思わず何かを叫んでしまいそうで――反射的に、逃げ出してしまった。 ――……最低…… ぽつりと呟いて、ルイズは深く眼を閉じた。 今は眠ろう。明日になれば、きっと忘れられる。だから、今はただ眠ろう。 しかし、意志に反して――彼女は一向に眠れなかった。 屋上の見張り台から、ギアッチョは一人地上を見下ろしていた。 「……流石に冷えるな」 雲の上の更に上を、風が容赦なく吹きすさぶ。チッと舌打ちして、ギアッチョは視線を前方に向けた。双つの月が、見渡す限りの雲海を煌々と照らしている。 「絶景かな、ってぇやつか」 身を投げたくなる程の美しさだった。チームの奴らにも見せてやりたいもんだと考えて、ギアッチョはフッと笑った。 ――あいつらにそんな情緒はありゃしねーか かく言う自分もそうだったが、とギアッチョは思い返す。 イタリアにいた時には、周囲のものを景色として見たことなど殆どなかった。この世界に召喚されて、ギアッチョは初めて物事をあるがままに見ることが出来たのだった。 ――……そこんところは感謝してやってもいいかもな そう考えて幾分自嘲気味に笑った時、背後からギィッと扉の開く音が聞こえた。 「……よーやくおいでなさったか」 雲の海を眺めたまま、ギアッチョは待ち人に声だけを投げかけた。 「待たせたね さて、こんな深夜に一体何の御用かな?二人仲良く月見酒と洒落込もうというわけでもなさそうだが」 風に長髪をなびかせて、背後の男は薄く笑う。フンと退屈そうに鼻を鳴らして、ギアッチョはそこでようやく彼に振り向いた。 「何、大した用件じゃあねーんだがよォォ~~ ちょっと腹割って話でもしようや、ええ?ワルド子爵サマよ」 帽子のつばを杖で押し上げて、ワルドは口の端をつり上げて嘯いた。 「いいだろう こんなに月の美しい晩は、誰かと話もしたくなる」 前へ 戻る 次へ
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「なるほど、事態は把握したよ」 シルフィードの背中、身元を隠す黒いローブの下でギーシュは頷いた。 その隣で、同じくタバサが頷く。双月の光が降り注ぐ夜空を、ルイズ達は モット伯の屋敷へと飛んでいた。 「だけどどうするんだい?」 「止めるの」 「・・・止める?何をだね?」 「ギアッチョをよ」 「・・・何だって?」 意味がよく分からず、ギーシュはぽかんとした顔でルイズを見る。 少し俯いた顔で、ルイズは話し始めた。 「・・・そういうことなら、協力しないわけにはいかないね」 ルイズの説明に、ギーシュは納得したという顔で答える。 それを受けて、しかしルイズは「だけど」と返した。 「今回のことは冗談じゃ済まないわ 最悪の場合、あんた達の 家名にまで係わることになる・・・無理をする必要は、」 ルイズの言葉を遮って、彼女の頭にぽんと掌が乗せられる。 「それで、私達が帰ると思ってるわけ?」 「・・・キュルケ」 ルイズの頭をぐりぐりと撫でながら、キュルケは一見皮肉めいた 笑みを見せる。 「あなた達を助けるって『覚悟』してるから皆ここにいるんでしょう? いらない思量はしなくていいの」 ギーシュとタバサは片や鷹揚に、片や静かに頷いた。ルイズはそれを見て、 「・・・・・・うん」 少し恥ずかしげに――しかし満面の笑みを浮かべた。 ――あ・・・ キュルケは気付く。この少女は、こんなにも綺麗に笑うことが出来たの だと。もう二度と、この子の笑顔を裏切りはしない。言葉にこそしないが ――それはキュルケだけではない、この場の全員の決意であった。 地図を頼りに森を行くギアッチョの眼前に、大きな屋敷が姿を現した。 「おう、旦那 どうやらここみてーだぜ」 「ほぉ こりゃまた大層なお屋敷じゃあねーか」 夢に出てきたあの屋敷よりは幾分小さいが、と心の中でどうでもいい ことを付け足すギアッチョにデルフリンガーは一つ疑問を投げかける。 「しかし旦那、具体的にはどうするんだ?嬢ちゃん掻っ攫ってとんずら っつーわけにもいくめぇ この警備じゃあよ」 木陰から伺えば、確かに門前と庭内には数人の衛兵。そして彼らと 共に、蝙蝠のような翼を生やした犬という悪魔合体の産物の如き 生き物が数体庭を闊歩している。それらをちらりと一瞥して、 ギアッチョは詰まらなさそうに息を吐いた。 「奴らを排除してモットの野郎を殺す それで仕舞いだ」 「・・・そうかい ま、俺ァ人殺しの道具だ とやかくは言わねーよ」 「・・・とやかく言いたいことがあるってわけか?」 「いんや、俺ァ旦那の相棒だかんな ――ただ、ま・・・ ルイズは悲しむんじゃねーかと思ってよ」 「・・・・・・」 呟くようなデルフの声で――ギアッチョの口は数秒動きを止めた。 「チッ・・・」 何故か脳裏をよぎったルイズの泣き顔を掻き消そうと一つ舌打ちして、 ギアッチョは無理矢理に言葉を吐いた。 「・・・それだけか?言いたいことはよォォーー」 人の身であったならば溜息の一つもついただろう。それが敵わぬ デルフリンガーは、ただ淡々と質問を続ける。 「いや、もう一つ スタンド・・・だったよな そいつを使う力、 もう殆ど残ってねぇんだろ?大丈夫なのかと思ってよ」 そう。確かに自分のスタンドパワーは今にも底をつこうとしている。 誰にも言いはしないが、少しでも気を緩めようものならがくりと 膝を落としてしまいそうだった。彼の心身は、今それ程までに 疲弊しているのである。しかし、 「問題はねえ」 ギアッチョがそれ以外の言葉を口にすることなど有り得なかった。 「旦那・・・」 納得し兼ねるといった声を出すデルフに目を向けて、ギアッチョは 面倒臭そうに言葉を継ぐ。 「オレの目的はあくまでシエスタとモットだ 雑魚共をいちいち 相手にしてる程暇じゃあねーぜ ・・・そもそもだ、わざわざ スタンドを出すまでもなくこっちにはてめーがいるんだからな」 「へ?・・・お、おおよ」 いきなりの不意打ちに、デルフリンガーは少々上擦った声を上げた。 考えてみれば、ギアッチョが己への信頼をこうして言葉にしたのは 初めてのことなのである。力の化身のようなこの男が口にした 信頼の言葉に、デルフリンガーは密かに感動していた。 喋れるように鞘から少し露出させていた刀身をすらりと引き抜いて、 ギアッチョはその心中も知らず彼を無造作に肩に担ぐ。隠れていた 木陰から数歩歩み出て、不機嫌そうな顔のまま口を開いた。 「行くぜオンボロ」 「任しとけ・・・ってうぉい!結局オンボロ呼ばわりかよ!」 それは、彼女のような平民は眼にしたこともないような巨大な 浴場だった。モット伯の邸内に設けられたそこに、シエスタはもう 随分長く浸かっている。身体が茹だってゆくにも構わず、彼女は その最後の安息地から腰を上げることを頑なに拒んでいた。 「・・・どうして・・・」 震える肩を抱きながら、シエスタは一人呟いた。呟いてから、その 先に何を続けたかったのかを考えて自己嫌悪に陥る。どうして こんな目に遭わなければならないのか、どうして自分なのか、 どうしてこれが許されるのか――考えれば考える程に出てくる それらは、まるで己の卑小さを嘲る刃のようにシエスタ自身に 突き刺さった。 「そうよね・・・」 シエスタはその口に、諦念混じりの自嘲を浮かべる。そうだ、 恨み言をいくら吐こうが何も変わりはしない。この世界は 「そういうもの」なのだから。平民にとってメイジは天災。それは 比喩ではなく、正しく言葉通りの意味でそうなのだ。平民如きが 何をどう足掻こうが覆らない災禍。洪水や嵐と違うのは――彼らが 意思を持っているということだけだ。そしてそれ故に、メイジは 時として災害よりも凶悪な存在にすらなる。 だから。そういうものだと割り切るしかないのだ。例え彼らに 襲われようが、奪われようが、そして殺されようが・・・それは 仕方の無いことなのだと。メイジとは、貴族とは、そういうもの なのだから。 …ぽたりと。伏せた瞳からこぼれた一滴の雫が、水面を震わせる。 心を抑えることは出来ても――涙を抑えることまでは出来なかった。 我知らず漏れていた嗚咽と共に、シエスタの綺麗な瞳からは次々と 涙がこぼれ落ちる。 「お金なんていらない・・・ 皆と仕事をして、マルトーさんや ギアッチョさん達と色んな話をして、たまに故郷へ帰って・・・ それでよかったのに・・・ それで幸せだったのに・・・」 止めようとして止まるものではなかった。何も変わらないと 知りながら、シエスタは静かに泣き続ける。 最後の安息、その終焉を告げたのは、シエスタと同じくこの館で 働く侍女の一人だった。浴場の入り口から一言、「伯爵が寝室で お待ちです」そう淡々と伝えると、老境の侍女はそのまま立ち去った。 「・・・・・・」 永遠にも思える時間を、シエスタは祈るように沈黙した。それが 無駄だということは、誰より己が解っている。それでも、何かに 祈らずには居られなかった。 そうして数秒、震える両肩から手を離し、彼女は静かに閉じていた 眼を開く。 「・・・最後に、ギアッチョさんにお別れを言いたかったな・・・」 もはや叶わぬことを呟くと、シエスタはごしごしと涙を拭い―― 諦観に染まった表情で、ゆっくりと湯船から立ち上がった。 「うぐっ」 「あがっ」 屋敷の門外、高い塀の向こうからからくぐもった声が二つ続けざまに響き、 庭内を巡回していた三人の衛兵は不審げに顔を見合わせた。視線の先、 格子状の門の外には何者の姿も見えない。静かに目配せし合うと、彼らは その手の槍を素早く構えて門へと駆け出した。 一分後。塀に身を隠すギアッチョの目の前に、合わせて五人の衛兵達は 折り重なって倒れていた。 「とりあえずは、こいつらで全部だな」 「意外だね、気絶でとどめるたぁ」 左手の先で笑うデルフリンガーに、ギアッチョはいつもの仏頂面で答える。 「オレは別に殺人鬼じゃあねー」 デルフリンガーは、そう言いながら自分を鞘に戻そうとするギアッチョに 向けて早口に口を開いた。 「旦那、あの犬コロ共はどうすんだ?あいつらァすばしっこい上に空を飛ぶ 相手してる間に騒ぎに気付いた衛兵連中が集まってくるぜ」 「・・・問題はねえ」 対するギアッチョの反応は、実に淡々としたものだった。そのままデルフを 鞘に納めて、彼は開きっ放しの門から躊躇無く庭内へと侵入する。 「ぐるるルるる・・・」 一歩足を踏み入れたその途端、六匹の怪物犬は唸りを上げながらギアッチョ 目掛けて走り出した。そう訓練されているものか、彼らは一瞬にして ギアッチョの周囲を逃げ場無く取り囲む。翼の生えた黒い犬が血走った 眼で獲物を囲んでいるその光景は、正に地獄の様相と言うに相応しかった。 常人ならば失神してもおかしくないそれを、ギアッチョはただ面倒臭げに 一瞥する。自分達に恐怖を感じていないその様子が気に入らないのか、 黒い獣達は一斉に刃のような牙を剥き出した。そのまま怒りに任せて獲物を 引き裂かんとするその瞬間、 「ああ?」 ギロリと。圧倒的な怒気と殺意を宿すギアッチョの凶眼に刺し貫かれて、 六匹の魔物はまるで石像のように硬直した。 「・・・ぐ・・・ぐるるる・・・」 怯えるはずの人間に、今恐怖を感じているのは紛れも無い彼らだった。 直接ギアッチョの双眸と対峙していない後方のニ匹でさえ、ギアッチョの 放つ極寒の炎の如き殺意に身動き一つ取れなかった。 魔眼の巨人や魔除けの籠目を例に出すまでもなく、古来より「眼」に ある種の力を認める類の譚話は世界中に散見するが――今、彼ら六匹の 魔犬は正にそれを実演するかのように停止していた。 それを何でもないような様子で確認して、ギアッチョは一言低く、 「行け」 と呟く。その瞬間、彼らはきゃんきゃんと喚きながら我先に空へと 逃げ出していった。 「・・・すげーな、旦那」 呆けたような声を出すデルフリンガーに、ギアッチョは無感動に答える。 「急ぐぞ」 ルーンの刻まれた左手ですらりと魔剣を抜き放つと、邪魔者のいなくなった 前庭を、ギアッチョは眼にも留まらぬ速さで駆け抜けた。 「何だきさ・・・はぐぉッ!!」 右の拳で玄関の番人の一人を問答無用で殴り飛ばし、同時に左手の剣は もう一人の喉元へ流れるように突きつける。 「なッ・・・!?」 「ちょっと訊きたいんだがよォォォ~~~ モット伯とか言う野郎はどこだ」 突然の状況に眼を白黒させている番兵を、ギアッチョは静かに問い詰めた。 「き、貴様・・・何のつもりだ こんな狼藉が許されると――」 言い終わらない内に、ギアッチョはデルフリンガーの刀身を番兵の喉に 軽く触れさせる。 「ぐッ・・・」 「聞こえなかったっつーわけか?ええ、おい?」 ギアッチョは、「三度目はねぇぜ」と低く呟いて繰り返した。 「モット伯はどこだ」 「・・・・・・は、伯爵は・・・」 諦めたように口を開く男の右手の動きを、ギアッチョは見逃さなかった。 虚を突いて繰り出された槍の穂先をデルフリンガーがまるでバターを 切るように両断すると、右手で男の首を掴んでそのまま館の壁に叩きつける。 「ぐッ・・・!」 「いい返事だ 下衆野郎に殉じな・・・」 ここまで倒して来た衛兵達と違い、この男にははっきりと顔を見られている。 首を掴む右手にぎりぎりと力を込めるが、苦しげにもがくだけで何かを 喋ろうともしない。この様子では懐柔も難しいだろう。 「大した根性じゃあねーか・・・そいつに敬意を表して一瞬で終わらせてやる」 そう言いながら、しかし躊躇なく剣を構える。胸に狙いを定め、一気に 貫こうとしたその時、 「待って!!」 上空から聞きなれた声が響き――同時に放たれた風がデルフリンガーを 弾き飛ばした。 「・・・何のつもりだ」 気絶させた番兵から手を離すと、デルフを拾いながらギアッチョは シルフィードを見上げる。返事の代わりに、ルイズ達はひらりと地上に 飛び降りた。ルイズはそこから一歩を進み出て、曇りの無い瞳で ギアッチョを見つめる。小さく息を整えて、彼女はゆっくりと口を開いた。 「ギアッチョ・・・もう誰も殺さないで」 「・・・ああ?」 見ようによっては恫喝的にも感じられるギアッチョの視線に、 ルイズは臆さず向かい合った。 「もう十分よ・・・お願い、これ以上殺さないで」 「今更だな 何人殺そうが何百人殺そうが、オレには同じことだぜ」 「・・・違うわギアッチョ あんたが殺してるのは――自分の心よ」 「・・・・・・」 かぶりを振ってそう言うルイズに、ギアッチョはわずか絶句した。 「ギアッチョ、もういいのよ もう誰も殺さなくていいの 今の あんたは暗殺者なんかじゃないんだから」 「・・・御主人様らしく命令でもするってか?」 「――命令することは簡単だわ だけどそれはわたしの意志 それじゃ何の意味もないのよ わたしじゃない、ギアッチョ自身の 意志でそうして欲しいの!だからギアッチョ、お願い・・・もう 誰も殺さないで!」 ルイズの懇願に眩暈のような錯覚を覚えて、ギアッチョは思わず壁に 片手をついた。それ程までに、ルイズの言葉は今のギアッチョには 眩しすぎた。 「・・・今更、オレにどう生きろっつーんだ」 「人生」、表現を変えればそれは個人の歴史と言えるだろう。歴史とは 即ち記憶――ならば人生もまた、記憶の集積であるはずだ。そして ギアッチョは、真っ当な人間であった頃の記憶など、とうの昔に捨てて いた。彼の記憶は暗殺者の記憶、彼の人生は暗殺者の人生。それは 殺人を生業とする異常極まりない世界で自己を保ち続ける為の手段で あった。異常な世界で生きるには、それを異常だと感じる原因を 抹消してしまえばいい。ギアッチョはそうして、身も心もその全てを 殺戮に染めていた。 存在する理由を、手段を失くした時、人には何も出来なくなる。 正に暗殺という二文字で成立していたギアッチョの自己同一性は、 今届かぬ蜃気楼のようにその姿を揺らめかせていた。 「・・・オレは暗殺者だ 人殺しだからオレなんだよ」 「それは違うわ!!」 ルイズは怒ったように否定する。 「何が違う?暗殺者っつー事実だけがオレの全てだ オレは殺す為に 生まれ、殺す為に生きてんだ そいつを取り上げりゃあよォォーー オレにゃあ何も残りはしねえ」 「違う・・・そんなことない!!」 吐き捨てるギアッチョに、ルイズは更に語気を強めて遮った。 何かを言おうと同時に口を開いていたギーシュ達は、互いに顔を 見合わせて言葉を飲み込む。今はギアッチョの主に全てを任せて おくべきであろうと思われた。 「そんなことない・・・!ギアッチョはいつもわたしを助けてくれた、 わたし達を導いてくれた・・・あんたが何を否定しても、それだけは 変わらない事実だわ!」 「ハッ・・・そんなもんはおめーら他人が作り上げたただの幻だろーが」 話にならないとばかりに笑い捨てるギアッチョから、ルイズは尚も 眼を逸らさずに言い放った。 「幻で何が悪いのよッ!!」 双眸の深奥まで深く見通すようなルイズの眼差しに、ギアッチョは 再び言葉を失った。 「・・・貴族が、どうして平民の上に立っているか分かる? 魔法が使えるからよ 力ある者は、敵に背を向けてはいけないの 天に授かったその力で、身を挺して弱者を守る者・・・それが 本当の貴族なのよ」 「・・・・・・」 「・・・だけど、わたしは魔法を使えない ねえギアッチョ、 あんた今『殺す為』って言ったわよね それは自分に生きる理由が あるってことでしょう?・・・わたしにはそれがなかった 魔法の使えない貴族に、存在価値なんてない・・・わたしは ずっと叱られ、疎まれ、蔑まれてきたわ ゼロのルイズとは よく言ったものよね・・・誰の役にも立たない、貴族の務めも 果たせない、誰にも必要とされない、生きる理由も意味もない ――わたしは何もかもがゼロだったわ」 凛として己を見つめながらそんなことを言うルイズに、ギアッチョは 眉をひそめる。ルイズの口から、ギアッチョは後ろ向きな言葉など 聞きたくはなかった。半ば話を中断させるように、その口を開く。 「・・・一体何が言いた――」 「だけどッ!!」 それすらも遮って、ルイズはギアッチョに言葉を投げかけた。 「だけどこんなわたしを友達と呼んでくれてる人がいるの!! 彼女達がわたしに抱いている感情は幻だわ、だけどキュルケ達は その為に命を賭けてくれた!!それが悪いことなの!?違うわ、 絶対に違うッ!!」 「・・・ッ」 「・・・ねえギアッチョ わたしを必要としてくれてる人がいる ように、わたしにもあんたが必要なの 暗殺者なんかじゃない、 使い魔でもない・・・ギアッチョという一人の人間が必要なのよ!」 ルイズの叫びは、ギアッチョの心に激しく響き渡った。彼女の言葉、 そのどこにも偽りはないのだろう。だからこそ、ルイズ達はここへ やってきたのだから。だがそれでも、ギアッチョは言葉を返せない。 己に向けられた幾多の信頼に、友愛に応えるべきだとギアッチョは 今そう思えていた。しかし、それでもその口からは言葉が出ない。 暗殺者であることを辞めることは、リゾット達への裏切りではないかと いう思いが、彼の心を縛していた。 『・・・お前は振り向くな 過去に囚われるな』 ルイズの声の残響に合わせるかのように突如リゾットの声が聞こえ、 ギアッチョはハッとして顔を上げる。 『オレ達の影に――縛られるな』 ――・・・そうだったな 誰にも聞こえない声で、ギアッチョは静かに呟いた。 ――迷わねーと誓ったばかりじゃあねーか・・・オレはよォォーー 夢中に聞いたリゾットの言葉は、ギアッチョの迷いを容易く打ち砕いた。 口角を皮肉めかせてつり上げると、ギアッチョはがしがしと頭を掻いて ルイズに向き直る。 「・・・勘当されてもしらねーぞ」 「わたしには家柄なんかより――ギアッチョのほうがよっぽど大切だわ」 応えてくれたギアッチョに向けて、ルイズは吹っ切れたように笑った。 「――で、どうする気なんだおめーら」 静かな玄関前で、彼らは額を寄せ合って会話を交わす。当然の疑問を 発したギアッチョに、代表してキュルケが返答した。 「別に殺すことだけが口封じの手段じゃないわよ?」 キュルケは意味ありげに笑うと、ギアッチョに作戦内容を開陳した。 数分後。全てを聞き終えて、ギアッチョは凶相を面白そうに歪めた。 「おめーらもよォォ~~ 中々えげつねーこと考えるじゃあねーか ええ?」 「だ、だってそれしか手段がないってキュルケが・・・」 渋々といった顔のルイズに眼を向けて、キュルケはしれっと言い放つ。 「あら、他に策がないこともないわよ だけどあんな下衆にはこれで 丁度いいわ」 「ま、違いねーな」 ギアッチョとキュルケは互いを見合わせてニヤリと笑う。不安げな表情の 中に「オラわくわくしてきたぞ」という心境が見て取れるギーシュと 本に眼を落としながらもどこか楽しそうなタバサを見遣って、ルイズは 「もうどうにでもなれ」とばかりに溜息をついた。 ギイと音を立てて、軋んだ扉が開く。打ち合わせもそこそこに、 ギアッチョ達は邸内へと侵入した。その瞬間、 「貴様ら何者だ!」 警備兵の野太い声が響いた。黒装束に身を隠した人間が勝手に侵入して 来たのである。それを見咎めない者などいようはずもなかった。 心臓が飛び出る程に驚いたルイズやギーシュを制して、キュルケは 平然と口を開く。 「あなた、モット伯から何も聞いていないのかしら?私達は"アレ"を 届けに来たのだけれど」 「・・・納入は来週だと聞いているが」 「予定より早く用意出来たのよ 納品は早ければ早い方が、伯爵も お喜びになるでしょう?」 「・・・そういうことなら、こっちだ」 キュルケの言葉をあっさり信じ込み、警備の男はモット伯の部屋へと 先頭に立って歩き始めた。 "アレ"が何かなど、キュルケは勿論知る由も無い。モット伯のような 男ならば、口に出すのも憚られるような禁制の品を取引していたと しても何もおかしくはないと読んでカマをかけたのだった。そんな 品物の配達人なら、身元を隠す姿をしていることに何の問題もない。 そこまでの判断を一瞬の内にやってのけるキュルケに、ルイズ達は 舌を巻いた。 扉の向こう、廊下の方で「ぶがッ!?」という間抜けな声が聞こえ、 一拍置いて何かが倒れるような音。部屋の主には聞こえなかったらしい それら小さな音の後に、今度は扉がコンコンと大きく音を立てる。 モット伯は鬱陶しげに眉をひそめて、やって来たばかりのシエスタに ぶっきらぼうに手を振った。 「出なさい」 「・・・はい」 シエスタはいつもの快活さからは想像出来ない緩慢さで扉へ向かう。 がちゃりと扉を開けて、 「何用ですか?」 言い終わったと同時に、驚きで固まった。 「帰るぞ」 あちこちに巻かれた包帯の上からでもはっきりと分かる、無愛想な 顔の男がそこにいた。 一目会いたかった人が、自分を救いに来てくれた。それが――どれ程 残酷なことか。ここでギアッチョに縋ってしまえば、逃げてしまえば。 彼はきっとモット伯への罪で処断されてしまうだろう。シエスタに そんな選択が出来るわけはなかった。ギアッチョの眼を見ないように 俯いて、シエスタは冷たい声で言い放った。 「・・・お引き取りください」 拒絶の意志を表したシエスタを、ギアッチョもまた冷厳と見下ろす。 彼女の細い肩がか弱く震えていることに気付かないギアッチョでは なかった。 「断る」 「・・・っ」 シエスタは一瞬見せた泣きそうな顔をすぐに正して、ドアの握りを持つ 手に力を込める。 「・・・お引取り、ください」 そう言いながら扉を閉めようとするが、 ガンッ! ギアッチョは素早く片足を滑り込ませてそれを止める。 「断る、って言ってんだろーが」 ギアッチョの断固たる声に、シエスタは半ば諦めたように顔を上げた。 「・・・ダメです、それじゃギアッチョさんが」 「問題はねー オレを信用しな」 「・・・だけど」 尚も抵抗するシエスタを読めない瞳で見つめて一つ溜息をつくと、 ギアッチョは身体を半身にずらした。その後ろに見えた数人の顔に、 シエスタはハッと息を呑む。 「・・・オレで足りねーなら――こいつらの分の信用も足してくれ」 ミス・ヴァリエールとミス・ツェルプストー、ミスタ・グラモンに ミス・タバサまでがそこにいた。ここに来ることがどれだけ危険か、 彼女達が知らぬわけがない。家名にまで累が及ぶ危険を冒して、 彼女達は自分を助けに来てくれたのだ。それは彼女達の誠実さを、 何よりも雄弁に物語っていた。 「・・・・・・はい」 シエスタはおずおずと頷いた。貴族であっても、彼女達は信じられる。 彼女達の瞳、そのどこにも欺瞞の色などなかったから。 「何だ貴様ら・・・何をしている!!」 突如聞こえた怒号に、ギアッチョ達の視線はシエスタの背後に集まる。 不機嫌さを隠しもせずに、モット伯がそこに立っていた。 「・・・シエスタを頼んだぜ、おめーら」 シエスタの肩を抱いて、ギアッチョは彼女をルイズ達へ押しやった。 そのまま一歩進み出し、黒装束の下の顔を暴かんとするモット伯の 視線を身体で遮る。一連の流れで、モット伯には大体の事情が掴めた ようだった。怒りに顔を歪ませて、モット伯は手元の呼び鈴を乱暴に 鳴らした。 「許さんぞシエスタ・・・ 衛兵!!何をしている、はやくこやつらを 捕えよ!!私は置物に金を払っているつもりはないぞッ!!」 その瞬間聞こえ始めたどたどたという多数の足音に軽く舌打ちして、 ギアッチョはルイズ達に追い払うように手を振った。 「行け」 答える代わりに、タバサはシエスタに向けて何事か呟いた。それを 理解したシエスタとタバサが先頭に立ち、ギーシュを引き連れて 長大な廊下を走り出す。それを追いかけようとするルイズを、 ギアッチョは何の気なしに皮肉った。 「今日はいつもみてーにしつこく念押ししなくていいのか?ええ?」 ギアッチョの背中を向けながら、ルイズは肩越しに顔を覗かせる。 「・・・必要ないもの わたしはあんたを信じてるわ」 そう言い切って刹那笑うと、彼女は今度こそタバサ達を追って走り去った。 「・・・調子が狂うぜ 全くよォォォ」 ギアッチョは頭を掻きながら、ぎゃあぎゃあと何かを怒鳴り散らす モット伯へとキュルケと共に向き直った。 「このような夜更けに・・・薄汚い平民風情がよくも我が楽しみを 邪魔してくれたな」 嗜虐に満ちた表情で、モット伯は呼び鈴を投げ捨てる。 「貴族の前で剣を抜いた平民は、殺されて文句は言えぬ 覚悟は 出来ているのだろうな?」 「剣?オレはそんなもんを持った覚えはねーぜ」 ひょいと両手を上げて、ギアッチョは無手をアピールする。彼の 身体のどこにも、デルフリンガーの姿は見当たらなかった。しかし モット伯はそんなことはどうでもいいといったように哂う。 「分からんか?『どうとでもなる』ということだ・・・特に貴様らの ような身元も知れぬ平民の場合はな 女共なら再利用してやるが、 男に用は無い・・・ここで死ね」 「・・・身も心も腐り切ってるっつーわけか?やれやれ、これで 無くなったな・・・仏心を出してやる理由はよォォォ~~~」 この場にデルフがいれば「ハナっから許す気なんざさらさらねーだろ」と でも突っ込まれそうなセリフを吐いてポキポキと拳を鳴らすギアッチョに、 モット伯は心底愉快そうに下卑た笑いを上げた。 「ぬはははははははッ!!これは面白い!トライアングルの私に、この 波濤のモットに素手で挑もうと言うのかね!ふふふははははは! こんなところで命を賭けた寸劇が見られるとは思わなかったぞ!! もっとも、平民風情がいくら矢弾を持ってこようがこの私に傷一つ つけられはせぬがな!」 「波濤だか佐藤だかしらねーが・・・ごちゃごちゃ抜かしてねーで とっととかかってきなよ ええ?おい オレは出来てるんだぜ・・・ 『覚悟』はいつでもな」 余裕の挑発にピクリと眉を上げかけるが、モット伯は口よりも魔法で 黙らせることを選んで杖を構えた。キュルケが数歩後退すると同時に、 モット伯は杖で空を切る。飾られた花瓶がコトリと倒れ、注がれていた 水が赤い絨毯にぶちまけられた。続けてルーンを唱えると、こぼれた 水は映像を巻き戻すように宙に浮かぶ。細長い水の鞭と化したそれは、 杖の動きに合わせてギアッチョに襲い掛かった。 「便利な魔法じゃあねーか 寝たきりになっても自分で水が飲めるぜ」 「寝るのは貴様よ、ただし土の中でだが・・・なッ!!」 言葉尻に篭った気合と共に、水鞭はギアッチョの右手を打たんと 飛来する。ひょいと手を上げてそれを回避するが、凶器と化した水は 生き物のようにくねり、しつこく右手を追いかける。身体を捻って 避ければ次は左手に襲い掛かり、飛び避ければ今度は右。次は左手、 また左手、右手、左手、右、右、右。水の蛇は執拗にギアッチョの手を 狙い続ける。 「いい趣味してやがるぜ」 モット伯の意図を理解して、ギアッチョは悪鬼の如き表情で笑った。 まずは両手を壊し、次は恐らく両足を狙う。そうして敵を無抵抗に しておいて、後はたっぷり嬲るつもりなのだろう。 「どうやらしっかり教えてやる必要があるらしいな ええ?」 まるでダンスのようなステップで攻撃を躱しながら、喉の奥で笑う。 「てめーが戦ってんのは一体誰なのかを、な・・・」 ギアッチョの纏う空気が――鋭く冷たい刀剣のようなそれに変じた。
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第二話「脱出」 概要 リーダー マッドオーク 種族 人獣 リーダー使い魔 A/B/C/D 敵友軍 オーク 種族 人獣 敵友軍使い魔 A/B/C/D 友軍使い魔 A/B/C/D 解説 STAGE1攻略後、全国対戦を2回プレイすると挑戦可能 マッドオークはLoV2のイラスト。個人名はなく「マッドオーク」が名前。 オークはLoVIそのまま。 STAGE1と同じく、タワー制圧後リーダーと敵の友軍がこちらのアルカナに向かってくる。 今回は敵の使い魔も一部アルカナに向かってくる。そのため前回よりも石の割れるスピードが速い。 防衛役のユニットと石割役のユニットに分けて石を守りつつ石をわろう。 イコン 未クリア 脱出したところ船が大破した クリア後 8人中4人負傷。船は無事に脱出を果たした。 コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします ディードの場合:味方テオ、黒曜、アズーラ テレーゼの場合:味方ギデオン、黒曜、アズーラ ストーリー途中の味方2番目のキャラが名乗り出るときに掛け合いとして ヴォルフが出てきます -- (名無しさん) 2013-10-10 22 13 03 名前 コメント すべてのコメントを見る